農福連携で課題解決へ
農業の人手不足の解消と、障がい者の自立支援を目指し、JA松山市は初めて農福連携に取り組む。JAが福祉サービス事業所と業務委託契約を結ぶのは、県下初。当JAの主力作物「シンテッポウユリ」生産者の作業支援と同時に、農業を通して社会参画を目指す障がい者を後押しする。
当JAは、松山市福音寺町の障害福祉サービス事業所㈱シェアなどと契約し、労力を必要とする生産者へ人材を紹介する。福祉施設利用者は生産者の圃場と当JAのユリ採種園で定植する予定だ。当JA営農指導員が苗の植え方を教え、施設の支援員がサポートしながら作業を進める。
4月下旬から5月中旬の計10日間で、福祉施設利用者延べ42人が、およそ27時間かけて1万5400株を植え付けた。
同事業所の親会社の㈱ラコッタの統括管理責任者の大野正和さんは「利用者に農業の楽しさや大変さを経験してもらい、今後に活かしてほしい」と話す。
農福連携を利用した東温市松瀬川の清家信(まこと)さん(43)は、一人で10㌃でユリを栽培。人手不足だったため、当JA営農指導員が同連携を紹介。需要期を想定して定植するユリは4月下旬までに盆用を、6月上旬までに彼岸用の定植を終える必要があるため、同連携の利用に踏み切った。清家さんは「一人でやるより早いので助かる」と話す。
JA営農販売部の池川武司部長は「農福連携は、施設利用者の就労支援と農業現場の労働力確保で双方にメリットがある。今回の定植をはじめ、収穫作業や共撰場でも連携の可能性があり、農家負担を少しでも減らせればと考えている。人手不足で規模拡大に悩んでいる生産者はJAに相談してほしい」と考えを示す。
和気あいあいと作業を進めます |