霊を弔う大念仏
松前町神崎の禅宗・禅正軒で8月12日、戦いに敗れた武将・平若左近や愛馬を供養する盆入りの行事「大念仏」が執り行われた。神崎・出作・鶴吉地区の住民が東西に分かれて向かい合い、うちわを振り上げながら、「大南無阿弥(おおなむあみ)ろー」などと、繰り返し唱え霊を弔った。地域の伝統行事などを後世に継承しようと活動する、北伊予地区の組合員・髙石勤さんによると、大念仏は1661年頃から始まったと言われている。当時、戦いに敗れた武将や家臣が出作地区で追手に討たれ、乗っていた馬の首も切り落とされた。以来、首なし馬が「シャン、シャン」と鈴を鳴らし、毎晩走り回る姿が目撃されたため、三地区の住民が集まり、霊の供養を始めた。すると、首なし馬は出なくなった、と伝えられている。
うちわを振り上げながら、念仏を唱える地域住民 |